今日のおすすめ本
源氏物語(10歳までに読みたい日本名作)
石井睦美(著), 加藤康子(監修), 佐々木メエ (イラスト)
紫式部の源氏物語の一部が読みやすく
「源氏物語」は紫式部が平安京を舞台に、貴族の生活や恋愛模様を描いたお話です。光の君(光源氏)は藤原道長がモデルとも言われており、当時の貴族の間で源氏物語は大人気だったようです。
紫式部は本名もわかっておらず、どんな女性だったのか本当のところはわからないそうです。それにもかかわらず、彼女の残したお話を現代の人が読めるなんて感慨深いものがありますよね。
本来はとても長いお話ですが、この本では、子どもたちが興味を持って読めそうな部分だけが読みやすくまとめられています。表紙を見るとマンガだと思われそうですが、文章に挿絵がついている構成になっています。
アニメ風の挿絵がかわいい!
表紙がもうね、かわいい!このキラキラ感ですよ。女子が好みそうなのわかってますね!という感じで…私も表紙につられて手に取りました。このイラストの挿絵がところどころに入っているので退屈せずに読めていいと思います。
個人的には百人一首みたいな昔ながらの絵柄が好きですが、今どきの子はね、こういうアニメ風が良いみたいですよ。初めてこのシリーズの本を見た時はびっくりしたものですが、こういうのも有りかなと。
物語ナビで登場人物や平安時代の暮らしぶりがわかる
冒頭に「物語ナビ」というカラーページが設けられていて、登場人物がイラスト付きで紹介されていたり、平安京の様子や、貴族が暮らす屋敷の様子が書かれています。これによって前提知識を持ってお話を読むことが出来ます。
それにしても立派なお屋敷。うらやましいけれど、お掃除係にはなりたくないなあ。
魅力的な光源氏だけど、最後のあたりは…おっ?あ~?えぇっ?
「源氏物語」の光の君(光源氏)のモデルは藤原道長と言われています。光の君は頭も良くて見た目も美しいという設定ですから、道長もそういう人物だったのかもしれませんが、私は何となくイメージが重なりませんでした。
光の君が「極楽の鳥のような声で歌い舞う姿」を想像すると…やっぱり道長とは重ならない(笑)挿絵の影響が大きすぎるのではないかな?この際、藤原道長のことは忘れよう。Wikipedia先生によると、藤原道長は頭髪が薄かったそうです。それがどうした!道長様はきっと素敵だったんだよ、うん。
それはさておき光の君ですが、目次でいうと「14:ぬすまれたわたし」辺りからあやしくなります。盗まれた私という表現から想像がつくかもしれませんが、現代の基準で考えるとこれはアウトなのでは?ということをします。ちょっと強引だよね、光の君様は!
でも、そんなありえないことしてしまうという展開が、当時の貴族たちの心をときめかせていたのかもしれませんね。
ハードルの高い古典文学の世界を気軽に楽しめる一冊
「10歳までに読みたい日本名作」のシリーズは名前からもわかるとおり、小学生を主な読者と想定してまとめられていますが、大人でも楽しめます。名作は興味はあるけど、なんだが読みづらくて…という大人にもおすすめです。
漢字にはふりがながついていますが、話の内容的には低学年の子には難しいかもしれません。「源氏物語」は登場人物の名前など、少し覚えにくいところがあります。「10歳までに~」となっていますが、5~6年生くらいの方が理解しやすくていいかもしれませんね。
低学年の子には親が読んであげると楽しめるかもしれません。