今日のおすすめ本
のろまなローラー
小出 正吾(著), 山本 忠敬(絵)
1965年に「こどものとも」で発表されてから、子どもたちに愛され続けてロングセラー
ずいぶん前に書かれた作品なのに、古さを全く感じません。お話の内容は、時代を超えて共感されるテーマになっていて心に残りますし、絵も素敵でローラーくんたちが生き生きとしています。こちらをちらっと見ているような表情のローラーくん、かわいいです!
絵本は子どもたちが初めて出会うお話の世界です。教育熱心な親御さんの多くは、いい絵本を我が子に読ませたいと考えているのではないでしょうか。私が考える「いい絵本」とは、何度も読み返したくなるような心に残る絵本です。理屈ではなく「この本が好き!」と感じられる本が、その人にとっていい絵本だと思っています。
「こどものとも」で発表された絵本は、絵もきちんと描かれたものが多く、素敵なお話がたくさんあります。絵本選びに迷ったら、「こどものとも」の絵本から読んでみるといいかもしれません。
ゆっくりでも自分の仕事をしっかりやるローラーくん
「のろまなローラー」という書名からも想像がつくと思いますが、道路を平らにするローラーくんは、ゆっくりゆっくり前に進みます。その間に、いくつもの乗り物が追い越していきます。それでも焦らずゆっくりと進むローラーくん。
早く駆け抜けていった車たちは、途中でトラブルに遭遇し、歩みを止めてしまいます。ローラーくんはそんな車たちを追い越して行くのですが、ローラーくんは偉ぶることもなく優しい言葉をかけて通りすぎていきます。そして仕事から帰るときも淡々としています。
ローラーくんはゆっくりながらも自分の仕事をやり遂げます。そして、いばったり他人をけなしたりすることはしません。ローラーくんは人生の大切なことを教えてくれているようです。
山本忠敬さんの乗り物の絵が子どもの心をとらえる!
山本忠敬さんは乗り物の絵本をたくさん出版されています。渡辺茂男さんが書かれた 「しょうぼうじどうしゃじぷた」の絵も山本さんです。
「機関車・電車の歴史」など、リアルな表現をもちいた緻密な乗り物の絵も描かれますが、「のろまなローラー」の絵はシンプルなイラストです。小さな子が親しみを感じるようなテイストですが、特徴的な模様や金具のつなぎ目のようなところなどはキチンと描かれていて、そんなところが乗り物好きな子どもたちの心をとらえるのではないでしょうか。うちの息子のどんべーくんも0~3歳くらいの頃にとても気に入って毎日のように読んであげていました。
この本は、無彩色を除けば、赤味よりの黄色、青、ピンクのほぼ三色で描かれています。色数を絞って描かれているので、すっきりして見えるんですね。黄色と青は反対色なので、はっきりとした対比を作り出し、鮮やかに目に飛び込んできます。表紙のローラーくん、とても印象に残りますよね。
読み聞かせや、幼児~小学校1年生の一人読みに
ひらがなとカタカナで書かれていて、漢字は使われていません。小さな子でも読みやすい絵本です。
乳児や幼児には大人が読み聞かせをしてあげるといいですね。