今日のおすすめ本
坊っちゃん(10歳までに読みたい日本名作)
夏目 漱石(著), 芝田 勝茂(著), 加藤 康子(監修), 城咲 綾(イラスト)
「坊っちゃん」は夏目漱石の経験を元に書かれたお話
主人公の「坊っちゃん」は教員になるために四国へ出ていくのですが、原作者の夏目漱石も四国で教員の経験があるそうです。このお話は、漱石の経験を元に書かれたようです。ただ、夏目漱石と坊っちゃんでは性格が全然違うということなので、漱石自身が坊っちゃんのモデルということではなさそうです。
他の「10歳までに読みたい日本名作」シリーズと同様に、巻頭カラーで「物語ナビ」があります。登場人物の紹介や、このお話の舞台である明治時代の汽車や一円札などが紹介されています。このページを読んでから本編を読むと、物語の背景が理解しやすく、お話の内容を楽しめるようになっています。
表紙には坊っちゃんと、教員仲間の「山嵐」が描かれています。女性も描かれているのですが、メインの登場人物ではないです。表紙にこの女性を入れたのはおそらく…デザイン上のワンポイントかなと(笑)お話を読んで、私はそう思いました。
むてっぽうだけど真っ直ぐな性格の坊っちゃん
イラストの坊っちゃん、やんちゃそうですね。この絵の坊っちゃんは大人になってからの姿です。子供の頃の坊っちゃんは本当に「むてっぽう」で熱くなりやすく、後先考えずにすぐに行動を起こすトラブルメーカー。でもその真っすぐさを持ったまま大人になって、正義感の強い若者に成長します。坊っちゃんがこういう性格だからこそ、痛快なのです。
坊っちゃんに対する清の想いに胸が熱くなる
坊っちゃんはそんな性格ゆえに、家族とも対立するのですが、下女の清(キヨ)だけはいつも坊っちゃんの味方でした。清の坊っちゃんへの愛情あふれるまなざしに心が温まります。清はお話の中にずっと出てくるわけではないのですが、私は清の存在感をとても大きく感じました。世の中の全ての子どもたちに、清のような理解者がいると良いのになと心から思います。
じっくりと名作を読みたい子におすすめ
漢字にはふりがながついています。挿絵は多めに入っていますが、文章が中心の本です。内容的には小学校3年生、4年生くらいからがちょうどいいのではないでしょうか。明治時代のお話なので、昔のことに興味がある子や、名作を読んでみたいと思っている子におすすめです。
読めない子には、大人が読んであげても楽しめる内容だと思います。
「10歳までに読みたい日本名作」のシリーズは、読書に苦手意識があって子供の頃に読書をあまりしてこなかった大人の人にもおすすめです。この本を読んでから原作の「坊っちゃん」を読んでみてもいいかもしれませんね。